借金してる本人が死んだらどうなるの?死んだらチャラになる?
人の人生いつ何が起こるか分かりません。事故や災難など突然に命を落としてしまうこともあります。
では借金している人が亡くなってしまった場合、その借金はどうなってしまうのでしょうか?「借りた本人が死んでしまったんだからチャラでしょ?」いえいえ、そうはいきません。
ここでは残されたご家族を対象に、借金の相続と対処法について考えてみましょう。通常のカードローンやクレジットカードのキャッシング、住宅ローンなどについてご説明します。
また、死亡してしまった方の借金の連帯保証人になっている場合についても考えてみましょう。
目次
借金は本人が死んだらチャラ?そんなことはありません!
自分の配偶者や親や子供、兄弟姉妹が知らないうちに借金をしていたということは意外とよくあることです。銀行カードローンや消費者金融のカードローンなど、現在では他人に知られずにお金を借りることが容易になっています。
例え一緒に生活している家族であっても、借金をして返済を続けていることに気付かないことが多いのです。
ここで困るのが、その借金をしていた本人(債権者)が死亡してしまった場合ですね。亡くなってからしばらくしてカードローン会社からの督促状が届いて借金が発覚した!というケースも多いです。
「借りた本人が死んだんだから返済する必要ないよね?」と放置してしまってはいけません。
実は「借金も相続される」のです!
カードローンの借金も相続される!遺産相続について
通常、個人の遺産は「相続」という形で法定相続人に引き継がれます。遺産と呼ばれるので「ありがたく頂きます」となるかもしれませんが、実はこの遺産にはプラスだけでなくマイナスの遺産も含まれているのです!
不動産や預貯金といった遺産はもちろんですが、債権(つまり借金を返済する義務)のような遺産がある場合もあるのです。
例えば旦那さんが亡くなってしまい、生前に借金があったとしたら、その返済義務はそのまま相続人である奥さんに引き継がれるということですね。
ちなみに相続権のある相続人に未成年者がいる場合には注意が必要です。
未成年者は基本的に法律行為を行うことができません。(遺産相続も法律行為ですね)そのため法定代理人(通常は親)もしくは特別代理人の同意を得る必要があります。
「全く知らなかった旦那の借金を返済したくない!」「父親の負の財産は相続したくない」という方には次のような方法があります。
借金を相続したくない!相続放棄とは?
遺産は絶対に相続しなければならないというものではありません。返済に困るような借金を遺された場合には、「遺産放棄」するという方法があります。
具体的には、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出するという方法になります。
しかし、相続放棄することによって、全ての遺産を相続することができなくなります。例えば不動産や預貯金といった資産がある場合にも、これらを相続する権利が無くなってしまうということです。
また、遺産相続放棄手続きは、被相続人(亡くなった人)が死亡してから3ヶ月以内に必要書類を提出して済ます必要があります。それ以上経ってから借金が発覚した場合には、すでに遺産を相続している相続人が返済することとなります。
相続の限定承認について
遺産の相続には、被相続人の遺産をそっくりそのまま受け継ぐ「単純承認」と、一部を受け継ぐ「限定承認」という制度があります。
限定承認を行うことで、プラスの遺産の範囲内で債務の返済を行うことができます。相続の権利がある相続人全員の同意が必要ですし、みなし譲渡所得税という納税義務が発生する可能性もあります。
いずれにしても「借金があるなら遺産放棄しちゃおう」と簡単に判断すると、持ち家を失う場合もあるなど生活に影響が出る場合があります。
個人で判断できない遺産相続の問題は、専門家に相談するのが得策でしょう。
場合によっては相続財産と相殺させて借金も返済してしまうことも可能でしょう。
また、借金を相続した上で債務整理を行うという方法もあります。無料で質問に答えてくれる法律事務所もありますので、こちらも弁護士や司法書士といった専門家プロファイルによる回答を参考にした方が賢明ですよ。
死んだ人に借金があるかどうか分からない!
亡くなった方の借金がいくらあるか分からないという場合、個人信用情報を参照するという方法があります。
貸金業者や銀行からの借入れは、信用情報機関という第三者機関で全て管理されています。通常は本人による開示請求しか受付けられませんが、本人が死亡している場合に限り、配偶者や二親等以内の血族の方(法定相続人となる方)が開示手続きを行うことができます。
相続手続きの前に借金の全貌を知っておきたいという場合に有効ですね。
また委任された弁護士や司法書士が開示手続きを行うことも可能ですので、遺産相続の相談とともに専門家に依頼してしまうのも確実でしょう。
遺産相続してしまってから「多重債務者だった!」と発覚してしまったら、相続したあなたが返済なり債務整理をする義務が発生してしまいます。
住宅ローンは本人が死んだらどうなるの?
「相続放棄して住宅ローンはどうなるの?住むところが失くなってしまうの?」家計を支えていた方が亡くなってしまった場合、非常に心配になるところですよね。
通常のカードローンやキャッシングといった借金は相続人に相続されますが、住宅ローンに関しては少し事情が違います。
住宅ローンを利用する際には、団体信用生命保険に加入することが条件となっている場合がほとんどです。住宅ローンを契約した本人が死亡した場合には、この団体信用生命保険制度によってローン残額が精算されるのです。
念のため契約書や住宅ローンを契約している銀行などの金融機関に確認しておきましょう。
あわてて遺産放棄してしまう必要はありませんよ。
死亡したら連帯保証人はどうなる?
もしあなたが連帯保証人となっている方が死亡してしまった場合、当然返済の義務は連帯保証人であるあなたに引き継がれます(死亡しなくても消息不明、自己破産などの状態になっても同じですね)。
これは契約時の約束ごとですので、相続とは問題が違って放棄することなどできません。借金の連帯保証人になるということは、「その人に何かあった時には代わりに返済する」という保証債務契約を結ぶということなのです。
では、亡くなった方が連帯保証人になっていた場合はどうでしょう。
返済は債務者である契約者(実際にお金を借りた人)が続けていくことになりますが、契約上の連帯保証人が不在となってしまいます。この場合にはまず債務者の方に連絡をしましょう。
基本的には債務者の方が他に連帯保証人を立てるか、債権者(貸している側)との交渉をすることになります。亡くなった連帯保証人の相続人であるあなたが、連帯保証人の権利まで引き継ぐことはありませんし、もちろん支払義務はありません。
ちなみに、保証人には「連帯保証人」と「単純保証人」とがあります。大きな違いは「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」があるかないかの違いです。
ごく簡単に説明すると、「借りたのはあいつだから先にそっちに請求してくれ」「あいつにはこれこれこうで返済能力があるから俺は払わない」と言う権利があるのが単純保証人です。
逆に連帯保証人になっている場合には、「あんたが代わりに返済してくれ」と債権者に言われたら断る権利が無いということになります。
「連帯保証人になるには注意しなさい」とよくいわれるのは、非常に責任が重い保証契約を結ぶからなのです。
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